追憶ソルシエール
声の方向に顔を向ければ、ネクタイを緩める伊吹くんの姿。

はい、と差し出されたその手には素早く解いたネクタイ。


「いいいい大丈夫!」

「遠慮せずに〜。俺反省文書くの慣れてるし」

「そういう問題じゃ…」

「おい、そこ貸し借りは禁止だぞー」


こそこそと話していれば先生に目をつけられてしまった。


「伊吹と岩田だな。ふたりとも反省文決定」


わー、先生いくらなんでもひどすぎー
ブーイングが飛び交う中伊吹くんと顔を見合わせる。



「伊吹くんごめんね」

「岩田が早く受け取らないから〜」

「……はい」


ほんとそう。100パーセント私が悪い。伊吹くんを巻き込む形になったのは私のせいだ。







身だしなみチェックで引っかかったやつは反省文書いて今日中に職員室の机に置いとくように

あっという間にやって来た放課後。帰りのホームルームでそう言い残し教室を後にした先生は確実に私たちを見ていた。


「世莉がんばって!」

「那乃〜」

「俺もいるんだけど?」

「伊吹もがんばれ」

授業には遅刻するも部活にはちゃんと行く那乃。励ましの言葉をもらって那乃を見送れば教室には私と伊吹くんだけが残った。
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