追憶ソルシエール
「なにがあった?」
「ひとりで歩いてたら、後ろから足音、聞こえて……」
「今どこ?」
「えっと、最寄りの、コンビニ、」
「分かった、待ってて」
「は、早くだよ」
「うん」
「走って」
「うん、走ってるから」
話してる間に早くなった鼓動。
落ち着かせるように深呼吸をした。
「念のため電話繋いでて。あと店員から見える場所にいて」
「う、うん、わかった」
繋いだままの電話から聞こえる、車が通り過ぎる音、足音、息遣い。
ちゃんと向かってきてくれてることが確認できてほっとした。
「岩田!」
それからどのくらい経っただろうか。その声と、コンビニの軽快な音楽が鳴ったのはほぼ同時だった。
その声にちょっとだけ懐かしさを感じながら、姿を目に移した瞬間、安心して目の奥が熱くなる。
「岩田をつけてたっぽいやつ、どっか行ったよ」
その声に安心感を覚えて、ふわっと力が抜けそうになる。
「歩けそう?」
上から降りかかる声に、うん、と頷く。
もう大丈夫だから、と肩を支えられながらコンビニを後にした。