追憶ソルシエール
近くにある小さな公園のベンチに腰かける。

ずっと背中に手を回してくれてて落ち着かせるようにさすってくれる手があまりにも優しくて、それでまた泣きそうになって。


やっとのことで顔を上げたのはそれから数分後くらい。


辺りを見渡していれば


「もうアイツとっくにいなくなってるから安心しな」


真っ直ぐにこちらを見る西野くんと目が合う。



「……ごめんね」

「なんで謝るの」

「……ありがと」


過呼吸気味だった呼吸が落ち着きを取り戻す。
ふう、と白い息が空気中に溶ける。



「……もう大丈夫になったから。だから帰っていいよ」

「帰るわけないじゃん」


間髪言わず届いた返答に驚いて息を飲んだ。


「…………」

「まだ震えてんのに」

「……」

「置いてけるわけないでしょ」


自分の手を見れば僅かに震えていた。さっきよりも断然気持ちが楽になっていた。だからもう大丈夫だと思っていたけれど。私でも気づかなかった私の些細なことに気づいてくれた。


突然呼んだにも関わらず駆けつけてくれたり。
何も言わずただ背中をさすってくれたり。


ありがとう、と口を開きかけてその言葉は西野くんに届く前にかき消された。
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