追憶ソルシエール
『……今なんて?』
『別れよって』
『どうして、急に』
『岩田のこと好きじゃなくなった』
『昨日まで普通に、』
『だから別れよ』
奥の奥にしまっていた苦い思い出。正しくはしまっていたのではなく忘れられなくてただ居座り続けていただけだけど。
「今だったらもっと違う方法で守ったのにね」
そう呟く彼は心なしか切なく見えた。
「傷つけてごめん」
気の利いた返事もできずにうん、としか言えずに口を閉じる。
数年越しに知った事実になんでこんなにも胸がざわめくのだろう。
今さら、なにも変わることはないのに。


