毒林檎令嬢と忠実なる従僕〜悪役はお断りなので冷徹な狼従者を甘やかしたら、独占欲強めに執着溺愛されました〜
そんな経緯で――本日、王都はもともとの夏の暑さとあいまって、一時的な猛暑が訪れていた。
いくら人間が手を尽くしても、妖精や竜には敵わないのである。
「エリー、こうなったら髪を全部アップにしてちょうだい!」
「全部アップにですか? ティアベルお嬢様がアップスタイルにするのは珍しいですね。いつもは日焼けが嫌だとおっしゃいますのに」
「うーん、そうなんだけど……」
私は前世の死因の影響から、今日までの十五年間、極端に日差しと日焼けを避けてきた。
でも、だからこそ、今日はこの長くて量の多いお嬢様ヘアスタイルな髪をどうにかせねばならない。
「あまりにも暑くて、首元の涼しさを確保したくって。お屋敷の外には出ないわ」
「それでしたら日焼けの心配はなさそうです」
――だってこの季節、熱中症が一番怖いんだからっ!
朝の支度を手伝ってくれたエリーが退出する。朝食までの時間は、アルトバロンが迎えに来てくれるまで一人だ。
私はエリーが朝日を取り込むために開けていてくれた窓のレースカーテンを閉め切ってから、氷魔法の魔道具がひんやりとした風を吹かせる自室のソファで、ゆったりと過ごす。
ああ、涼しい……。
いくら人間が手を尽くしても、妖精や竜には敵わないのである。
「エリー、こうなったら髪を全部アップにしてちょうだい!」
「全部アップにですか? ティアベルお嬢様がアップスタイルにするのは珍しいですね。いつもは日焼けが嫌だとおっしゃいますのに」
「うーん、そうなんだけど……」
私は前世の死因の影響から、今日までの十五年間、極端に日差しと日焼けを避けてきた。
でも、だからこそ、今日はこの長くて量の多いお嬢様ヘアスタイルな髪をどうにかせねばならない。
「あまりにも暑くて、首元の涼しさを確保したくって。お屋敷の外には出ないわ」
「それでしたら日焼けの心配はなさそうです」
――だってこの季節、熱中症が一番怖いんだからっ!
朝の支度を手伝ってくれたエリーが退出する。朝食までの時間は、アルトバロンが迎えに来てくれるまで一人だ。
私はエリーが朝日を取り込むために開けていてくれた窓のレースカーテンを閉め切ってから、氷魔法の魔道具がひんやりとした風を吹かせる自室のソファで、ゆったりと過ごす。
ああ、涼しい……。