この空で繋がっていれば
1年生。
リリリリリリリリ!!!
「・・・・。」
朝になると騒々しく鳴るアラーム音とは裏腹にぼーっとした様子で起き上がりアラームを止める。
朝7:00。
外はとうに明るいが部屋はカーテンが閉められた上にカーテンも閉められ一片の光も入らない。
「 ・・・今日は、行かないと 。」
1人しか居ない部屋の中ぽつりと呟くとだるそうにその辺に脱ぎ散らかした制服に袖を通す。
親は仕事に出て誰も居ずしーんとした家の中を足音も立てずに歩き洗面台へと向かい顔を洗いながら携帯を確認する。
--- AM6:26 留守番電話 ---
「おはようございますー! 九瀬さん、今日は生物の授業があるので休まずに来てくださいね! 単位落ちると進級できませんよ!!では、学校で待ってます。」
僅か15秒ほどの留守番電話に学校の担任から先程の一言を詳しく説明するかのような言葉が元気よく入っていた。
ため息をつけばぎゅ、と少し携帯を握りしめ少し覚悟を決めて玄関へ向かい外へ出る。
「・・・眩し、」
そんなことを1人つぶやきながら電車を乗り継いで約40分の学校へ向かう。
九瀬 蒼は生粋の不登校だった。
学校が嫌、というのもあるが感情の起伏が余りなく心が死んだように凪いていてとどのつまり、全部どうでもよかった。
学校に行けないにしては少し遠い学校なのも全部どうでもよかったから中学の時の先生に全て任せたらこの学校になっていた。
「九瀬さん!おはようございます!今日はちゃんと来ることが出来たんですね!!教室行きましょう!」
「・・・保健室じゃ駄目?」
学校に着くと先程の留守番電話の担任がまた直接だと1層元気よく話しかけてくる。
少しめんどくさくも思いながら保健室登校を提案するがそれは拒否されたようで私の腕を引いて教室へと向かった。
---ガラッ
教室のドアを開けると自分に視線が集まるのを感じた。
「九瀬さんじゃん」
「珍しいねー。」
「まだ学校来てたんだ。」
全部私へは宛てられずこそこそと話してる声が頭に響く。
視界がぐらついてどうしようもない。
「 蒼! おーはよっ。 今日は来たんだな。」
そんな言葉が投げかけられ顔をふと上げると目の前には中森 澪緒の姿があった。
この男とはこの私立城海高等学校に入学して初めて会った。
否、中学は違うが強制で入らされた部活の大会で数度会っているらしいが私は思い出せない。
澪緒は入学してからもう冬になるが何故か私にずっと声を掛けてくれていた。
今まで気持ちが赴くことは無かったが遊びにもよく誘ってきていた。
「・・・お、おはよう」
誰かに宛てて出す声は何日か振りで少し震えた声でおはようと返す。
そうすると相手は笑ってくれていた。
その笑顔が綺麗で嬉しそうで怖かった。
なにも感じない私の心へ容赦なく入ってきて何かを掴んでそのまま去ってしまいそうな笑顔がなんとなく怖かった。
「なあ、このあとカラオケ行かね」
「うん」
そんな考え事をしていたからか相手の誘いについ反射的に乗ってしまいしまった、と顔を再度あげた時には相手は満足そうな顔をしていて
「ん。じゃあ放課後。」
と言って席に戻ってしまい、私はどうしようもなくなり考えるのを辞めて自分も席に戻った。