大切なあなたへ

こうして二十歳の夏、一つの恋が終わりを告げた。


自分があんなに彼を好きだったこと、泣いて、叫んで、
あんな自分が居たことに、志穂自身が驚いた。


部屋に戻り、携帯のアドレス帳から、彼の名前を削除する。


『やっぱショックだな…。
お互いに好きなのに別れるなんて…。
大人の考えることは分からない…。
立ち直れるかなぁー、私…。
ずるいよね、別れの日にあんなこと言うなんて…。
大人はずるいよ…』


そんな独り言を言いながら、また一日は始まっていく…。


いつもの様に、志穂は支度をして仕事に行く。


どんなに悲しくても、辛くても、全てを投げ出す勇気はないから…。


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