大切なあなたへ

鏡の中に写る、いつもと違う自分…。


二十歳の志穂は、メイクによって、年を重ねていた。


志穂の中に現れた、もう一人の違う人格が、
これから運命の扉を開こうとしていた。


志穂が向かったのは、つい最近、一也と一緒に来たあの店。


そう…、一也の兄が働いている店。



志穂は、店の入り口の前に立ち、不気味な笑みを浮かべる。


”パーティータイム”と呟いて…。


店の扉をゆっくりと開け、志穂は店の中へと。


一歩店の中に入って、志穂は立ち止まった。


この間来た時とは、店の中の雰囲気が全く違っている。


バックミュージックはクラシックが流れ、
店の中は明るく、客は一人も居ない…。


あの、騒がしく、人が溢れていたパーティーの日とは
別世界だった…。

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