転校生は双子くん


遠くから聞こえる石焼き芋の声も、今の私の心に染み込んでいくよう。


…石焼き芋……


あの声を聞くと、トラックを追いかけたい衝動に駆られるのは何でなんだろう?


トラックで売っている焼き芋って、何でか格別に美味しく感じるんだよね。

ああ、焼き芋食べたくなってきた…。



…アレ?

私、今まで何を考えていたんだっけ?



「じゃあ、良子。私これから委員会の仕事があるから行くね」

「はい、いってらっしゃい」


香織を送りだして、暇を持て余した私。

さて、今日の昼休みは何をしよう。



「あー!それ言えてるー!」
「だよねー!」
「絶対そうだよ!」


教室の中の一角で、クラスの女子たちがすごく盛り上がっている。
なんの話をしてるんだろう?


「何話してるの?」

仲間にいれてもらおうと、話の中に入っていった。


「あ、ヨッシー!ヨッシーもそう思わない?」

「何が?」

「1組の渡邊さんだよ!知ってるでしょ?」


1組の渡邊さん?
誰だっけ?
1組ってことはクリリンと同じクラスだよね。


「で、その渡邊さんがどうしたの?」

考えても思い出せそうにないので、話の続きを促すことにする。


「渡邊さんってさ、絶対ブリッコしてるよね。って話してたんだよ」

「男子の前だと態度違うもん!」

「ちょっと顔がいいからってさ、騙されてる男子も多いらしいよ!」

「えー、単純!魂胆みえみえなのにね!」

「それにさ、なんかオドオドしちゃって同情誘ってるっていうか」

「そうそう、そういえばこの間さ……」



話に入らなければ良かった…。

話についていけないよー!




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