which?



加藤弘樹、17歳。


背番号6番、ショート。



「…ふっふっふ…」



私の彼氏、弘樹は野球部自慢の遊撃手。


すごいかっこよくて、とにかくかっこよくて。


―…一応、彼女の私はそんな弘樹が大好きです♪




「…結莉(ゆり)、顔が変態っぽくなってる。」



隣に座っていた友達の舞(まい)が私の頬を摘む。


今日は、野球部の試合の応援に舞もついて来てくれたんだ。



「私のせいじゃないからいいの!弘樹がかっこいいせいだもん♪」


「はいはい…」



『もう勝手にして』と、舞が呆れたように溜め息をついた瞬間―…



大きな金属音。


振り返ったピッチャー。


私たちの座るバックスタンドも騒然となった。



そんな中、私は鞄から持参したある物を取り出す。



「来た来た来た!」


「それ、結莉のグローブ?」


「そう!!弘樹のホームランボールは私の物だー!」



そう言った私は、左手にグローブを装着して空へ掲げた。




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