昨日、あなたに恋をした
 いきなり日子に腕をつかまれ、逃げ腰に叫んでしまう。

「あっ、すみません。
 おはようございます。

 こんなところで会うなんて奇遇ですね~」
と日子は手を離し、笑ったが。

 いや、家の前だが……。

 っていうか、お前、今、明らかに待ってたろ、と誠孝は思っていた。

 一体、いつから待っていたのか。
 こいつは俺が出かける時間を知らないはずだが。

 今まで一度も会ったことないからな、と思う。

 美女に待たれて悪い気はしないが。

 ……こいつの場合、絶対、なにか裏がある、と誠孝は身構える。
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