転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
 アルフォークはスーリアが腕にかける紙袋を見ていた。中にはリジェルの作ったパンが入っている。

「リジュの手作りパンです。リジュは凄いんですよ。うちの野菜を使ってとっても美味しいパンを作ってくれます」
「手作りパン……」
「はい。家に戻ったらアルフォークさんにも少しお分けしますね」

 そこまで言ってスーリアはハッとした。目の前にいる人は魔法騎士団長であり、貴族なのだ。庶民のパンなど口に合わないかも知れない。

「あの……、アルフォークさんの口に合わないかも知れないですが」 

 スーリアは顔を俯かせ、段々と語尾が小さくなる。

「いや、いただこう」とアルフォークは言った。「それと、呼び方。今度から『スー』と呼んでも?」
「え?」
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