転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「ルーエンさん、なんだかその子、さっきから様子がおかしくないですか? 手をバタバタしていて、まるで悶絶してるみたい」
「ははっ、本当に可愛いよね」

 ルーエンはくすくす笑いながらもう一度マニエルを抱きなおすと、その体を優しく撫でた。


 ***


 王宮の入り口近く。マニエルの侍女は主人の帰りを首を長くして待っていた。
 なにせ、お嬢さまが猫の格好で王宮に入り込んだのだ。だれかに捕獲されやしないかと気が気でならない。今か今かと待ちかまえていると、見覚えのある白い猫が戻ってきたのを見つけて侍女は慌てて駆け寄った。猫は「ニャー」と一回鳴いて馬車に飛び乗った。しばらくするとポーションの効き目が切れ、猫はもとの姿のマニエルの姿に戻った。

「お嬢さま、どうでしたか?」
「色々と初体験が多くて……。幸せな時間だったわ」
「初体験?」
「ルーエン様に体中を撫でまわされて口づけられたの」
「まあ!!」
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