転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
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 スティフとメリノの結婚式はそれはそれは素晴らしかった。

 騎士団の式典用正装姿のスティフの横に立つのはレースをふんだんにあしらった白いドレス姿のメリノ。そして、メリノの髪にはスーリアが育てた白いバラが飾られ、手にもバラと百合で造られた花束を持っている。
 美男美女の二人は本当にお似合いで、おとぎ話の王子様とお姫様のようだとスーリアは思った。時折見つめ合う二人の蕩けるような笑顔は、スーリアに二人のこれからの幸せな未来を確信させた。

 王都の教会で行われた二人の挙式で、スーリアはこの世界に来てから初めて、教会という場所に足を踏み入れた。真っ白な石造りの建物に入ると、正面に見える祭壇の上にはスーリアには見覚えのある美しい女性の石像が、優しい微笑みをたたえて人々を見下ろしていた。

──シュウユ、どうか姉さんとスティフさんがいつまでも幸せに暮らせるように見守っていて下さい。

 祭壇の前で誓いを立てる二人を見つめ、スーリアは自らも胸の前で手を組んで祈りを捧げた。賛美歌が流れて、神聖な空気があたりを包み込む。誓いのキスをする二人を見て、スーリアは自然と口元を綻ばせた。
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