砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎

アラブ首長国連邦(U A E)の首長国の中でも、外国人を受け入れて経済発展を遂げているアブダビやドバイは、国教であるイスラム教の戒律がそんなに厳しくないと聞く。
(もちろん敬虔なイスラム教徒(ムスリム)は、自らをしっかりと律しているとは思うけれども)

ムスリムの女性は髪をヒジャブ(UAEではシェイラが多い)という布で覆って隠すことになっているが、ほかのムスリムの国と違ってここアブダビやドバイでは、外国人の女性にまでそれを強制することはないらしい。
(さすがに観光などで礼拝所(モスク)に入るときには、頭をスカーフなどで覆わなければならないが)

それでも、一応郷に入ればなんとやらで、彼らムスリムが「男性を惑わすもの」として忌避する「女性の髪や肌」は(あたしも女性の端くれなので)ビジネスを円滑に進めるためにも見せないに越したことはないだろう。

なので、あたしは膝下を(さら)すスカートは履かず、シフォンのやわらか素材の長袖ブラウスに足首までのワイドパンツを着用していた。
(ゆったりしているから、機内の狭いエコノミーシートでも身動きしやすく一石二鳥だ)

こっちの服のサイズやテイストがどんなものなのか見当もつかなかったため、日本にいる間にそのようなテイストの服を買い集めて、このハン◯プラスに収められたおよそ二泊分くらいの服はもちろん、すでに到着しているはずの段ボールの箱の中にも詰めておいた。

(突然の海外赴任の辞令にもかかわらず出発まで間がない中で、一人暮らしの東京のアパートを引き払うにあたって、アブダビに送る荷物と実家に置いてもらう荷物を仕分けしつつ、真夜中に睡眠時間を削ってひたすらパッキングしなければならなかったときのしんどさは……思い出したくない……)

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