青い夏の、わすれもの。
わたしはもう我慢の限界を迎えた。

ついに表面張力いっぱいに溜め込んだ涙が溢れた。

拭っても拭っても止めどなく溢れてくる。

もう、嫌だよ。

なんで、なの?

どうして、なの?

こんな想いするくらいなら、わたしがポンコツのままでけちょんけちょんに言われた方が良かった...。

その方がまだラクだった。

こんなに胸がジンジン痛むことも胃がキリキリムカムカすることもなかった。

なかった、のに...。


「なんで山本が泣いてんの?」

「しょうがないじゃん。悔しい時泣くのは当たり前だよ」

「いや、悔しいのも辛いのもオレの方が何倍も上回ってると思うけど」

「なら泣けばいいじゃん。泣いても誰も見てないよ」

「何いってんだよ。山本が見てるじゃん」

「わたし男の子が泣くのもありだよ。全然オッケーだよ」

「オレは山本にだけは絶対見られたくない。ってか、見せたくない」

「なんで?意味不明」

「そっちこそ、ぼろぼろ泣いて意味不明だ。せっかく作った顔が台無しになるぞ」

「うるさいっ!」


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