青い夏の、わすれもの。
ってな感じでイライラモードに突入してしまったわけだけど、そんな中でも3年生としてやらなければならないことはある。

それが定期テスト。

ほんと、澪は毎年可哀想だよね。

コンクールが終わったと思ったら5日後にはテストなんだから。

澪はあたしよりも勉強出来るし、コツコツやる努力家だから、コンクールの練習と勉強を上手く両立させて頑張っていた。

あたしも多少は見習おうと思って、放課後教室に残って勉強してたりしたんだけど、そうしたらやつが邪魔してきたんだ。


「よっ、爽。なんだよ、珍しく勉強か?」

「うっさいなぁ。邪魔するならあっち行って。あたし結構ガチ目にやってんだから。ほら、しっし」


右手でほうきを払うふりをすると、魁は本当にほうきを持ってきて、その柄の先に顎を乗っけてあたしに話しかけてきた。


「あのさぁ、引退試合の件どうなってる?」

「あぁ、それねぇ。テスト明けには詳細決まると思うよ。この前ちゃんと出しに行ったし」


そしたらあの人に会っちゃったんだよね~。

そう言えばこの前も会ったなぁ。

向日葵のブーケを大事そうに抱えて恋する乙女って感じの雰囲気をビンビン振り撒いていたから、あたしは確信出来ちゃった。

彼女が恋してるのは、大楽律。

そう、あの事件の張本人。

まさかねぇそう来るとは。

あたしの予想を遥かに越える大混戦が周囲で巻き起こっていることにあたしは気づいてしまった。

赤い糸は絡み合いもつれ合い、果たしてどうなるのだろう?

それをほどくことは出来るのだろうか?


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