青い夏の、わすれもの。
「そういやさぁ、この前のコンクールの時、なんか吹部色々あったみたいだけど、澪大丈夫そうだった?」

「は?んなこと、あたしに聞かないで直接本人に聞けばいいじゃん」

「でも、返事ももらえてない分際でノコノコ話しかけるのもどうかなぁって思って」


この男は何を言ってるんだ?

あたしはハラワタが煮えくりかえりそうだった。

いや、あんたが澪のこと、困らせてるんでしょ?

あんた、返事ももらえてない分際でノコノココンクール見に来ようとしてたでしょ?

今さら何を言ってる?

なんでこんなに女々しいの?


あのね、そんな女々しい男子の面倒見てくれる人なんてこの世に両手で数えられるほどしかいないから。

その1人があたしよ。

感謝しなさいよ。

だから、早く好きになりなさいよ。

乙女心とはどういうものなのか、しっかり教えてあげるから。

あたしの理想にもっともっと近づかせてあげるんだから。

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