青い夏の、わすれもの。
あたしは一歩も譲る気はないし、澪には想い人がいるって知ってるから、ひとまずそのことを口にしてみた。


「澪さぁ、風(ふう)くんのこと好きなんじゃないの?」

「うん...まぁ」


風くんというのは、中学時代からの澪の片想い相手。

あたしと澪は高校からの付き合いだから、それよりも2人は長い。

もう片想い5年目だというのに澪は1度もアタックしていない。

まぁ、10年以上も蓋をしてるあたしよりは全然マシだと思うけど。

自分のことは棚に上げて人のことは言うって一番嫌なタイプだ。

それが自分ってのも、心底がっかりする。

それは一旦おいといて、話を進めるとするか。


「風くんのことが好きなら断ればいいじゃん。悩む理由なんてないよね?」

「でも、魁くんに悪いじゃん。好きって言ってくれてるのにソッコーで断ったら、本当に何とも思ってなかったのかってガッカリさせちゃう。それがなんか申し訳なくて...」


優しい人はそういう考えになれるのか。

澪とはほぼ正反対の性格だから、色々と気付かされる。

見えなかったものが見えたり、

知らなかったことを知れたり、

新しいことに触れることが出来る。

だから一緒にいて楽しいんだけど、

今回ばかりはちょっとムカつくかな。

ごめん。

魁が関わるとあたしもあたしじゃなくなるんだ。

多少キツいこと言うかもしれないけど、
許してね。

あたしは覚悟を決めて放った。


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