青い夏の、わすれもの。
「ってか、マフラーないんじゃ寒いよね?おれの貸すよ」


そう言うとものの数秒で首にぐるぐる巻きにしていた青いマフラーを取り、私の首に巻いてくれた。

マフラーから風くんの体温を感じて、チョコレートのように溶けてしまいそうだった。

いや、もう半分くらい溶けていたかもしれない。

私はこの人は危険だな、と思った。

一緒にいるだけでドキドキが止まらなくて殺されてしまうかもしれないって、本気でそう思った。


「じゃ、やろっか」


私はもう恥ずかし過ぎて言葉を忘れ、姿さえもまともに見られなかった。

寒さで感覚がなくなるのではなく、風くんによる熱により五感を感じられぬまま1時間掃除をしていた。

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