秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
授業がすべて終わり、タクシーを呼んですぐに家に帰る。
タクシーの中は空調が効いていて思わず眠りそうになってしまった。

タクシー代を支払い、長時間立って授業をしていた足をはやく休めたくて私は足早にマンションエントランスを通り過ぎる。

エレベーターに乗り込もうとすると背後から誰かが近づいてくるのがわかり、振り向いた。

「あ、」
「久しぶりじゃん。元気?」
「…マサトさん」
「同じマンションだからなぁ。階も一緒だし」

マサトさんが仕事帰りなのか、リュックを肩に掛けて伊達メガネなのかそうじゃないのか不明だけどメガネをかけていてにっこりテレビで見る爽やかな笑みを向ける。

エレベーターがちょうど降りてきて、二人で乗り込む。
マサトさんはいったい何を考えているのだろう。本当にたまたま同じマンションに住むことになったの?それとも別の思惑があるのだろうか。

「仕事帰り?」
「はい…まぁ、そうですね」
「ふーん、お疲れ様」
「ありがとうございます」


会話が途切れるのは仕方がない。私にキャッチボールをするつもりがないからだ。エレベーターの扉が開くと同時に私はそそくさとそこから離れるように降りる。
背後からマサトさんの気配を感じながらも私は鍵を取り出して、鍵穴にそれを差し込む。
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