秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
拓海はあれ以来、私の家に以前よりも頻繁に来るようになった。
隣に座るだけでドキドキしてしまうし、前のように接することが出来ない。そのせいで安心できない。


「会う頻度、減らしたい…」

男として見ている以上、以前のようなスキンシップはもう無理だ。妙な緊張感も苦痛だし、頻度を減らそうかと思った。

今日は来ないよね?ドラマの収録は今日はなかったって言ってたような…。
とはいえ彼は一日オフの日はほぼない。番宣のためにバラエティー番組に出演したり、CM契約も増えたようでその撮影や、ラジオもやっている。

…売れっ子だなぁ。

今日は予定を作ってとりあえず彼から逃げようと思った。
予定といっても普段からインドア派の私としてはこんな日に急に予定を入れることもまた、苦痛なのだ。

午後からは休みのため私は職場を出た。

…―――


”ごめん、今日は予定があるから会えない”

簡素なメールを彼に送って電車に乗った。
電車内は休日だから、カップルや友人が楽しそうに喋っているのを目で捉え、一人だけスーツって浮いているだろうか、なんて考えながらボーっと窓の外を眺めていた。

と。

「あれ?沙月?」
「え、嘘…恭介?!」

急に肩を叩かれ、名前も呼ばれてぱっと顔を上げるとそこには昔付き合っていた元カレがいた。
大きく目を見開き驚く私に彼も同様に吃驚しているようだ。


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