秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
ちょうど前方に人が集まっているのが見えた。

白いワゴン車も何台か止まっていて、カメラを抱えた人や何やら指示を出している人、様々な人がいて驚く。
一般人は彼らまでは近づけないようだが、写真を撮っている人もいる。
黄色い声が飛び交っていて、そんなに有名な芸能人がいるのだろうか。

「あ、あれってさ、アンナと拓海じゃない?」
「え…―どこ?!」

その名前に私は前のめりになって見渡す。
ほら、と彼の指さす方を見る。そこには確かに拓海がいた。
そして隣にはアンナさんがいる。どちらもオーラがあって、歓声の理由もわかった。

今日はお台場で撮影なのだろうか。
でも確か撮影はないとか言ってた気がするけど記憶違いだろうか。

「お似合いじゃん、あの二人」
「…確かに」
「どっちも美男美女だしなぁ」

他人事のように恭介がつぶやくが私からすれば常に会っている人が撮影をしていてそれを周りが黄色い声を上げながら携帯電話を取り出して写真を撮っている様子は不思議だ。
そして、私なんかよりも断然アンナさんのほうが拓海にはお似合いだ。
…うわぁ、あんな美人に生まれたかった…と肩を落とす。

「ほら、行こうぜ」
「うん」

と、拓海から視線を逸らそうとしたとき、

「…」

こちらを拓海が見た。
…ような気がした。そういえば、よく考えるとこの状況を彼に見られるのはまずい気がする。予定があるから今日は会えないとメールを送っておいて男と会っている。
それはあまりよろしいことではない。
…まぁ拓海に許可を得る必要はないけど。
とはいえ、この距離だし人も多いから彼が私を見つけるなんてことはまずないだろう。
私はその場を離れた。





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