秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「俺の台本見たんでしょ」
「…へ、」
「来月放送の二時間特番のドラマのやつ。そのセリフだもん、あぁ、勘違いするところだった」
「…あ、え?」

そういって私から体を離し重みがなくなる。
何を喋っているのか内容が理解できずにいるのに、拓海はつらつらと話し出す。
隣に背中をあずけて天井を見ながら残念そうにいう。

「そんなわけないの、俺がわかってるから」
「…」
「でも、なんで台本のセリフ覚えてたの?しかもそれ今言ったの?」
「…それは、」
「あぁ、セリフ合わせ手伝おうと思ってくれたんだ?」

何も言っていない、何も言っていないのに勝手に喋って自己完結する。
違う、それを言いそびれてしまった。
台本なんか知らないし来月2時間の特番のドラマがあることも知らなかった。

「…拓海」
「ん?」
「その二時間のスペシャルドラマ?ってどういう話なの」

彼は天井へ目を向けたまま静かに口を開いた。

「身分差の二人が恋に落ちる話。男のほうが諦めきれないでアプローチし続けるんだ」
「…」

―俺たちみたいだね

そういった彼の横顔は息を吞むほどに綺麗だった。

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