秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~

「週刊誌の方も絶対に拓海の記事は載せるといってきかないでので、こちらの提案としては一般人ではなくアンナさんに変えてもらって掲載予定です」
「はぁ?じゃあアンナと熱愛って記事になるってこと?」

はい、と言って業務用の笑みを浮かべるスナガさん。

「そんなの、無理」
「あなたはうちの商品なのよ。少し我慢しなさい。それから、”アンナさんと熱愛か”という記事にしてもらうけどお互いの家を行き来という文章は消してもらってる。つまり、二人がいい感じだっていう憶測の記事にしてもらってるの。ここまでしてもらえればこちらとしても合格点だわ。宣伝にもなるし、ドラマのね」
「…そもそもうちの事務所は沙月と恋愛するのは認めてないってこと?」
「それは、」

iPadを鞄にしまい、眼鏡越しに強い視線が向けられる。
ふふ、っと含みのある笑みを溢して、言った。

「いえ。もちろんできればそのような付き合いは基本してほしくないというのが本音ではありますが、そうなればあなたは直ぐに芸能界をやめてしまうでしょう?それはこちらとしてもダメージが大きい。CMだって3本新たに決まりましたし、間違いなくうちの事務所の稼ぎ頭。だから出来るだけ拓海の希望を叶えるつもりよ」

スナガさんのいうことは間違っていない。
あくまでも彼女は事務所側の人間として、最適解を提示している。
週刊誌側も拓海の記事を掲載したい、でも一般人はやめてほしいからアンナさんだったら今ドラマで共演中ということもあって話題にもなる。

とても賢いと思う。と、同時に芸能人との恋は普通じゃないということを再認識した。
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