秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~

「だったら、来年の大河ドラマまでに結婚させてよ」
「結婚?」
「そう。今年のスケジュール的には、恋愛系のドラマや映画も多い。だから我慢するけど来年は大河も決まったんだし、ちゃんと身を固めたい。大河もあるから来年は俺にとって節目の年になると思う。事務所には感謝してるけど、俺は沙月との結婚を認めてもらえないなら契約が終わったタイミングでやめるよ」
「拓海…やめるの?!そんなのダメだよ」

隣に座る拓海の肩を掴んで揺らす。
そんなに簡単に”やめる”と言える彼が信じられなかった。ここまでの地位をすべて捨ててもいいのだろうか。

「ダメじゃないよ。元々芸能界に入った理由も沙月だし」
「…」
「まぁ演技は好きだけどね。でもそれ以上に沙月が好きだから」

マネージャーがいるのにも関わらずそう言った拓海にキュンとする。


「わかりました。結婚の件は認めます。というのも社長も”アイツは多分結婚するっていうだろう”と仰っていましたからね。ただ、今週刊誌等で撮られることは避けてください」
「わかった。認めてくれてありがとう」
「いえ、私はあくまでも事務所側のメリットを最大限に考えて仕事をしているだけですから。あぁ、そうだ。アンナさんの事務所にも週刊誌の件は承諾してもらってるわ」
「そうなんだ」
「あ、それからね。二週間…できれば一か月、あなたたちには会わないでほしいの」


せっかくなんとか話がまとまったのに、まるで”ついで”とでもいうように話し出した内容に二人で目を丸くした。


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