秘密に恋して～国民的スターから求愛されています～

「俺の優先順位はいつだって沙月だよ。芸能界に未練があるわけじゃない。そのためにわざわざ偏差値高い大学卒業したんだから」
「…拓海」
「アンナのことはごめん。軽率だった。泣かせて、ごめん」

拓海が私の涙の跡を確かめるように何度も指を這わせる。
私は首を横に振って「私こそ、ごめんね」と謝った。疑っているわけではなかった。それでも、どうしても不安になって、嫉妬して…自分の気持ちを抑えることが出来ない。


「今日は…どうするの？」
「泊っていくよ。引っ越しの準備も手伝いたいし」

拓海が周りを見渡していった。

仕事が忙しいのか、少しやつれているような気がした。


「疲れてない？」
「疲れてたけど沙月に会って元気になった」
「ふふ、本当？それ」

拓海は本当だよ、と言って笑みを消した。
そして、私の頬に手を当て、顔を近づける。

「ようやく会えた」
「…うん」
「今日は会えなかった分のキスさせて」

色っぽい瞳を向けられて私は小さく頷いた。目を閉じると唇が重なった。