秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
気づいたら寝てしまっていたようで、枕を抱きしめながら意識を手放していた。
誰かの声が耳に届いてきて体が揺れていることに気づき、ゆっくりと瞼をあけた。

「沙月、」
「…ん、?」

現実と夢との狭間で私は拓海の幻を見ているのだと思った。
でも、違った。今度は鮮明に私の名前を呼ぶ声がしてはっと体を起こす。

ベッドの横に立っている拓海を見て私は口を半開きにして固まる。
どうして彼が目の前にいるのだろう。だって、まだ接触禁止では…?

すると拓海がベッドへ腰を下ろして私の頬を撫でた。
いつもよりも温かい手と、少し息を切らしているから、急いでここまで来たのかもしれない。

「なんで…?」
「あんな風に電話切られたら焦るよ。別れようって言いだされるんじゃないかって心配で」
「…私の家に来たことがばれたら…」
「いいよ、別に。ダメっていうなら芸能界やめるし」

何言ってんの、と声を張り上げた。
私のためにそれを選択してほしくない。彼には彼の人生がある。
< 92 / 215 >

この作品をシェア

pagetop