秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
顔を強張らせてすぐにドアを閉めようとした。
でも、すぐにドアに足を入れてそれを簡単に阻止される。男の力には敵わないと悟り、私はドアノブを握る力を緩めた。

マサトさんは、帽子をかぶっているわけでもマスクをしているわけでもなく、普通に顔を出していて変装しなくていいのかと疑問に思った。
そもそも、どうしてここにいるのだろう。

「な、何か用ですか」
「そんな警戒すんなよ。俺ら友達じゃん」
「勝手に友達扱いしないでください。芸能人と友達なんてあるわけないでしょう」

そういうとふっと鼻で笑って私の顔を覗き込むように背を低くして近づく。同時に私は背を反らせて一歩後ずさった。

「今日引っ越しだって聞いてたからさぁ」
「…誰から?」
「須永さんから」

またもや、須永さんの名前が出る。須永さんは拓海のマネージャーであり、マサトさんのマネージャーではないはず。

「芸能人の俺と友達って言いふらしたくなんねーの?」
「ならないですよ。友達でもないし」
「へぇ、変わってんな。お前」

どこか蔑むような馬鹿にしたような目で見下ろす。


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