恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
でも、その手がいつまで経っても私に触れることはなくて、あれ?と思ってゆっくりと目を開けると

「大丈夫だよ何もしない」
「…」
「ふふ、桜子は嘘が下手だね」
「…え?」
「だって、ほら。やりまくりですなんてあんな下手な嘘、普通すぐわかるよ」

優しそうに目を細める彼が私を見つめていた。
嘘だってわかってたなら早く言ってよ…そう思いながらも嘘をついてしまった後ろめたさもあって俯いた。

「…すみません、」
「いいんだよ。でもなんでそんな嘘ついたの?自分のイメージ悪くならない?」
「…」

本当のことを言うべきだろうか。
形式上でも夫婦ならば話した方がいいに決まってる。迷っていると

「いいよ。言わなくても」
「…」
「君が言いたくなったらでいい」
「…朝宮さん、」

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