恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
朝宮さん、じゃない千秋さんは仕事の関係で朝5時に家を出た。

自分の会社を持っているっていうことは相当な重圧があるだろうし、私にはわからない部分が沢山あるだろう。
だから契約結婚とはいえ、彼を支えたいと思った。

でも。

「…はぁ、美容室かぁ」

私は朝食を食べながら今朝した千秋さんとの会話を思い出していた。

『桜子、今日美容室に行ってきたら?』
『今日ですか?』
『うん。伸びてるし』
『うーん、でもこの間行ったばかりで』
『いつ?』
『4か月前です』

千秋さんは心底驚いたような表情をしてそして吹き出すようにして笑った。

カードを渡されて、美容室へ行って好きなものを買っていいとも言われたのだけれど…。

「…行こうかな」

彼の妻として相応しい女性になるために、私は家を出た。


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