恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
そんなことを言われたって困る。
好きになったら契約結婚ではなくなるわけで。


優しく微笑む彼に私は、困ったように眉の端を下げる。

「好きには…なれるかわからないし…」

自分でもびっくりするほど声が震えていた。

「桜子は恋したことあるの?」
「…多分、小さいころに」
「ああ、夏希か」
「…まぁ、そうなります」
「人を好きになった時、どういう感情になるかわかる?」
「…えっと、ドキドキしたりとか、一緒にいたいとか思うことでは?」

自分で答えておいて、それが正しいのか正直わからなかった。
幼少期の時と成人した今では感じ方も何もかも違う。
幼少期以来私は恋というものをしていない。だからなんとなくで答えてしまった。
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