闇に咲く華





「…今何て言った?」

俺の静かな怒りが響き渡る。

親父の部屋に行った後、ひと通りの話を聞いて、イライラするのを何とか堪えながら、組員を全員集めた。

莉依に対して、嫌悪感を抱く奴らがいることに驚く。

礼の話だと、何人かの組員が莉依の事をよく思っていない事を莉依が知っていたと言う。

莉依の前だけで言ってたってことか。

「思ってるのは俺だけじゃねぇっすよ。姫野の人間なのに、何で清宮に出入りしてるんですか?しかも、清宮に部屋まで作らせて。」

…莉依に物申す奴らは、どういう経緯で莉依がここにいるのかは知らない奴らなんだな。

新人たちが慣れた頃、折を見て話そうとは思っていたが、後回しにしていた俺が悪い。

「新しい者たちに莉依の事を詳しく話していなかった…上の立場である俺の責任ではある。だがな、お前たちは莉依に何かされたのか?危害を加えられたのか?」

俺の言葉に、物申してた奴らは押し黙る。

「莉依はお前らの思いをきっと、深く深く受け止めていたはずだ。言い返しもせず、1人で耐えていたんだろう。それなのに、理解をしようと思わなかったのか?何故ここにいるのか知ろうとしなかったのか?」

怒りが溢れ出てしまいそうになるのを抑え、言葉を続ける。

莉依の今の心の拠り所は"清宮(ここ)"だ。

それを崩してはならねぇ。

「この数年、お前たちは莉依の何を見てきたんだ。」

物申してた奴らを一人ひとり殴っていく。
これが極道のやり方。

落とし前というものの恐ろしさを痛感してもらう。

清宮が長年守ったきたものを、言わなかったとはいえ、闇に落とそうとしたんだ。

俺は無言でそいつらを睨む。

俺に殴られた奴らは、恐れおののいている。

そんな中、礼が口を開く。

「俺たちが伝えなかったのは謝る。すまんかった。情報を共有しなくてはあかんかった。せやけど、極道と言ってもお前らは社会人と何ら変わらねぇ。本来ならば、自分等の考えだけで突っ走らず、聞いて正しいことを知るのは当たり前のことやろ。」

「そうですね。こちらに非はありますが、あなた方の考えが正しいと思われるのも…。」

晶は優しい口調で言ってはいるものの、表情は怒りに満ちている。

「正しい情報を知ろうともせず…というのはお前たち側の落ち度だ。」

珍しく口を開いた慶一郎に、組員は言葉も出ないようだ。

そこへ、静かに傍観していた親父が物凄い威圧感を纏いながらお袋と現れる。

もちろん、莉依の事を誰よりも大切にしているお袋は、般若そのもの。




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