お姫様は恋してる?
日帰りでキャンプ場に行き、バーベキューというのが今日の予定らしい。

「一叶ちゃん。全然喋らないけど車、酔った?」

「大丈夫です。」

「もしかして俺のこと警戒してる?」

「そうですね。」

あんなこと言われたら警戒するでしょ。

秀介が近くにいない事をチャンスと思っているみたいだし。

「何、ふたりは喧嘩でもした?」

事情をよく分かっていない啓太さんが、バックミラー越しにこちらを伺っている。

「あー、いっちゃん。幼馴染の彼氏と上手くいったんだよ。」

全く空気を読んでいない唯ちゃんが、啓太さんに教えている。

「えっ、じゃあ今日はこの組み合わせで乗るのまずかった?」

「…」

私は運転中の啓太さんに気を使わせてしまい、曖昧な笑みを浮かべた。

「まぁ俺はそれでも諦めないって一叶ちゃんに言ってあるから。」

「義也、いくらなんでもそりゃ、いっちゃんが困るだろ。」

啓太さんの言葉に誰も返す言葉がなく、気まずいまま目的地まで行く事になった。

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