お姫様は恋してる?
とにかく一叶のいるはずのカラオケボックスを目指す。

店のすぐ前に高校生っぽい男の子と一叶、一叶に後ろから抱きついたあいつの姿が見えた瞬間、俺の理性はブチ切れて今泉を蹴飛ばしていた。

一回目は忠告にとどめておいてやるのが、大人ってもんだなんて考えていた事なんか頭からスポーンと抜けていた。

「しつこい男は嫌われるって、知らなかったか?これ以上、一叶に近づいたらただじゃおかないからな?」

自分にも地を這うような低い声が出るんだなんて事を思いながら、大切なお姫様すっぽりと胸の中に抱きしめた。

「しゅ…すけっ。」

優しく頭をポンポンすると、さっきまでの困ったような緊張した顔がこちらを見てホッとした表情に変わっていた。

「お姫様、助けない方が良かった?」

「いじわるっ。」

下手に大丈夫とか聞くと一叶が、さっきまでの状況を怖がりそうだから、わざと揶揄うように聞いてから、一叶の眦に浮かんだ涙を指で掬うとペロリと舐めて笑みを浮かべてみた。

「一叶が、心配で帰って来たんだけど、そんなヤキモチ焼きのしつこい男は嫌いか。」

「秀介ならどんな秀介でも大歓迎だよ。」

「それは嬉しいな。」

心からそう伝えて笑顔を向けると俺の首に腕を回して、一叶からキスをしてきた。
< 118 / 136 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop