お姫様は恋してる?
俺の依頼を真知子様は、しっかりやってくれたようで、暖かな5月の日差しが降り注ぐ良き日に家族だけのこじんまりとした一誠と香子の結婚式が執り行われた。

なぜか家族扱いの俺まで参加して…

式前に控室を覗きに行くと中からいちゃつく声が聞こえてきた。

「やだっ、どっかおかしい?」

「…きれいだ…」

「か、一誠さんもステキです。」

見つめあっている2人にため息を一つ吐いてから声をかけた。

「ったく、二人だけの世界に浸ってんなよ。普通、プロポーズまでした男を振っておきながら別の男との結婚式に招待するか?」

「しゅ、秀介さん。」

「未練を持たせないように完膚なきまでに潰しておかないといけないだろう。」

一誠は俺にそう言って余裕の笑み?を見せた。

「いちいち腹立つヤツだな。お嬢様、こんなヤツでいいんですか。」

「うん。秀介さん、ありがとう。」

「何がですか。」

「一誠さんとすんなり再会出来たのって秀介さんのおかげだよね。探すの大変だったんでしょ。」

「手間は取らされましたが、まぁお嬢様が幸せなら良かったです。こいつは一発…いや二、三発殴りたい気分ですが、新郎の顔を式前に汚すわけにはいかないから、我慢してやります。」

部屋を出て行こうとすると呼び止められ、香子がスツールから立ち上がった。

「秀介さん、本当にお世話になりました。あなたの気持ちに応えられなかったのに、一誠さんを探してくれてありがとう。私、ちゃんと幸せになるから。」

「あぁ。多少、拗れてそうだけどお嬢様の事は好きみたいだから大事にしてもらってください。」

「言われなくても大事にする。」

「それじゃ、式場で。」

2人に背中を向けたまま手をヒラヒラとふって控室を後にした。

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