お姫様は恋してる?
定時も過ぎたので、一叶を送って帰る事にした。

俺がこんなだから、総務部の残業はほとんどない、そう言う意味ではえらくホワイトな会社だが、俺はこの後、一叶姫の相手をするというサビ残…まぁ嫌じゃないが…が待っているんだよな。

「今日は、お祖父様のおうちに泊まるから、しゅーすけと一緒に寝たい。」

「しっ、そういう事はみんなのいる前でいうな。」

「はーい。でも、他のおねーさんにしゅーすけを取られないように牽制?しないと。」

どこでそんな言葉を覚えてくるんだよ。

早く大人になってくれた方がいいのか、いつまでも子どもでいてくれた方がいいのか、最近わからなくなって来た。

そして俺が一叶に対してどのくらいの距離感でいればいいか悩ましい。

さすがに俺もこの10年で考えるようになった。

一叶が俺を慕うのは自由だし、俺が一叶を大切に思っても問題はない。

しかし、だからといって一叶と俺が付き合うとか、け、結婚とか…

とにかくそう言う男女の関係になれるのか?

憧れのおじさんポジションで、一叶が結婚した時に一誠とふたりで寂しく酒を酌み交わすのがいいとこなんじゃないか。

一叶は周りがまだ見えてない。

俺に縛るのは、まずいはずだ。

どんどん魅力的に成長していく、この天使のような小悪魔にどっぷりハマる前に俺の方から離れる事も今後は考えるべきなんだろうな。

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