お姫様は恋してる？
「俺の娘だからな。秀介、悪いな。お前のこと義理の息子（予定）って言ったが、一叶に大学生の彼氏ができた。」

一誠が言った言葉は、酔った俺の頭の中を上滑りして信じられないのに心はドス黒いものに覆われていった。

「か、一誠、なんて言った？」

「一叶に彼氏らしい奴が現れた。俺からしたら秀介の方が歳は離れ過ぎているが、よほど信用できるのに、一叶は、秀介と会わない約束したし３年間いろんな人と楽しんでいいらしいからって言うんだ。
それで出張に託けて、秀介の様子を見に来たんだ。」

「そうか。一叶の彼氏は高校生なのか？」

「いや、友達の兄貴の友達の大学生だ。」

「一叶は？」

「まだなんとも。本人的にはお友達感覚だろうが、お前がいない状態でどう転ぶかな？」

しばらくふたりとも言葉もなく、グラスを傾けていた。

「なぁ、秀介。なんで一叶から離れた？」

「一叶は、俺のそばにい過ぎたから、俺を本当に男として見ているか自信がなかったんだ。だから、この３年で一叶が自覚してくれるかそうでなければ、そのまま離れるつもりで…」

俺の胸ぐらを掴んで、一誠は怒鳴った。

「馬鹿か？一叶はどう見たって秀介を男として好きだろ。」

「３０も上なんだぞ。」

「俺たち親が一叶の気持ちが向いているなら応援するって言ってんだよ。しっかり捕まえとけよ。」

「かずまぁ。」

酔っているせいか一誠に抱きついて俺は泣いていた。

「おとーさーんっ。」

「ヘタレなお前にお義父さんとは呼ばれたくないな。なんとなく…」

とりあえず一叶に会わないにしろ、一度様子を見に帰国する事にした。

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