お姫様は恋してる?
こんな生活が毎日続いたらいいのに 秀介
トントントンとリズム良く包丁の音がする。

布団をざっと片付けてキッチンに行くと香子ではなく、一叶が朝食の支度をしていた。

「おはよ。」

「おはよう、秀介。」

「あれ、香子は?」

「休みの日の朝は、私が作るようになったんだよ。ママが高校生になったんだから練習しなさいって。」

朝から一叶の手料理が食べられるサイコーかよ。

「なぁ、今日は用事あるのか。その…お友達とか」

「特にはないよ。昨日あの後、お付き合いできないって電話で話したし。まぁ納得はしてくれなかったけどね。遠恋ならまだわからないって。」

やはり牽制の意味も込めて、買い物に行こうと決めた。

元はと言えば、俺が中途半端に一叶の手を離したのが悪いのだが、一叶に手を出そうとしている男が一叶が俺の方を向いているのに割り込んでこようとしているのは気に入らない。

「朝ごはん食べたら出かけるから、おしゃれしておいで。」

「うん。」

まだ一誠たちも一貴も起きてこないから、二人きりでの朝食になった。

今日は、和食。鯵の干物にほうれん草のおひたし、甘くない卵焼きに揚げとワカメの味噌汁。

こんな朝食が結婚したら毎日食べられるのかと思うと楽しみで仕方がない。

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