お姫様は恋してる?
ツーコールで明るい今泉さんの声が聞こえてきた。

「一叶ちゃんから電話って珍しいね。なに、何?デートのお誘い?」

「あの…ごめんなさい。やっぱり今泉さんとはお付き合い出来ません。」

私が伝えると今泉さんの明らかに声のトーンが落ちた。

「一叶ちゃんは、俺じゃダメなわけ?」

「前にも言いましたけど、私ずっと好きな人がいて今泉さんの事、お友達以上には思えないです。」

「ふーん。それって引っ越しちゃった幼馴染って言ってたよね。そんな遠くのヤツじゃ…うまくいかないと思うけど。」

「私がしっかりしていれば、大丈夫だと思います。」

「まぁ強引な事を言って嫌われたら損だから、これ以上は言わないけど、今まで通りみんなでは出かけてくれるだろ?」

「そうですね。」

「じゃあ、俺は諦めないでアプローチ続けるよ。」

「でも、私は!」

「別に結婚している訳じゃないんだから、一叶ちゃんがそのうち俺の魅力に気付くかもしれないし。って事でまたね。」

とりあえずわかってもらえたのか、よく分からないまま電話を切った。

私が流されなければ大丈夫だよね?

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