【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

「でも…真凛ちゃんもお嫁さんにいっちゃって…私本当に一人になっちゃうのね…。
お母さんに会いたい…
真凛ちゃあん…うわあああん…」

胸に抱き着いて泣き声を上げる母の、背中を優しくさする。　すると母の涙腺は決壊したかの如く肩を揺らし声を上げて泣き続けた。

「お母さんが寂しい時はいつでも側に居るから。ね、涙を拭いて？　おばあちゃん安心して天国に行けなくなっちゃうよ」

ハンカチを差し出すと、母はそれを両手でぎゅっと握りしめてこくんと小さく頷いた。

一人では生きて行けない人。
それを弱いなんて思わない。

祖母と祖父の間に一人娘として産まれ、自由奔放に生きて来た彼女だったが
私が思っていた以上に祖母は母の拠り所だったのだろう。

生前の祖母も母が幾つになっても心配していた。　　弱々しくて放って置けない。娘を置いて男の所に行ってしまう母を祖母はよくたしなめていたけれど、それ以上に母が顔を見せると、母の笑顔を見れば、祖母は幸せそうだったのだ。