【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

それでも結婚式の準備やたまに家で顔を合わせる度に彼の人となりは知る事が出来た。

まず伊織さんは威圧的な雰囲気を持っているけれど、容姿は優れている。

透明感があって、髪とお揃いのブラウンの瞳がとても綺麗で印象的だ。 男らしいというよりかは中性的で
殆ど笑わずにいつもむすりとした表情をしているけれど、顔立ちは整っている。 …私は彼の秘書である小早川さんの方がずっとタイプだけど。

そして性格と口がかなり悪い。
これも元々持っているものだから余り気にしないように、と小早川さんに助言された。
市ヶ谷さんの言っていた’変わり者’って言葉も頷ける。

兄の三織さんはボヤージュを継ぐ跡取りだそうだが、伊織さん自体は甘い物が嫌いで家業には余り興味がないらしい。

その代わりインテリアが好きらしく、私との結婚を条件に市ヶ谷さんからボヤージュの商品を取り扱うカフェを出店していいという彼の長年の願いが叶うらしい。

それこそが私と契約結婚をしようとした決め手だったらしい。

だから私との結婚にも私自身にもまるで興味がないらしい。 今はボヤージュ初のカフェを出す店舗を決めるにあたり忙しいらしい。

なのでほぼ家にいない状態が続いている。

< 44 / 284 >

この作品をシェア

pagetop