王道みたいな恋をした日。
玄関を開けて飛び込んできたのは一切触っていない洗い物たち。くたびれた腕はそれらを片付けることをせずに硬いベットにダイブした。おもむろに郵便受けに入っていた手紙を寝っ転りながら読んでいると「同窓会のお知らせ」を見つけてしまった。昔は喜んで言ってたのにどうしてだろう、今は行く気にもならない。
お酒は接待の時で十分だし、和気あいあいとするなら一人で静かに眠っていたい。
くたびれた大人になってしまったなぁ…。
同窓会のお知らせに”出席しない”に〇をつけて化粧も落とさずに眠ってしまった。
こんな大人になりたかったんだっけ…?


___おーい、大丈夫かー?



懐かしいその声に驚いて漫画のようにベットから飛び上がった。
いるわけないのに周りを思わずきょろきょろと見まわした。
まるであの日にタイムスリップしたみたいだった。それくらいはっきり聞こえたから。いつもなら二度寝をするけれども今はドキドキしていて眠気の寝の字もないくらいに目が覚めてしまった。ざわざわする。何かを、探しに行きたい気分だ。
その時ふっと日記のことを思い出した。
日記。それは私が趣味でよくつけているもので、小学校のころから始めたのだった。そのなかで私が唯一鍵付きの日記にした時のものがあった。
それには、ちょっと恥ずかしいが、初恋日記と名付けていて、赤裸々なあの日々が書いてある。
一発目からそれを読むのは恥ずかしすぎるから、中学生の時のやつから読み直してみることにした。
明日は休日なのだから。
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