優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「日奈子だ」

「えっ―――?」

「俺が好きなのは日奈子だけだ」

「そんな……」

「昔からずっと好きだった」

壱哉が何を言っているのかわからなかった。
昔から?
日奈子のことは私の妹だから、気に入ってるのだと周囲は思っていたけど、違っていたってこと?

「気づいていたはずだ。認めたくなかっただけだろう?お前だけじゃない。周りの人間全員がそうだ。俺に完璧でいてほしいだけのために日奈子を俺の相手として誰も見ようとしなかっただけだ」

「……日奈子のどこがいいの?あんな鈍くて、何もできない子のどこがいいのよ!」

「俺達とは違うからだ」

日差しは明るいのに大きな影が出来た気がした。
足元に―――

「俺達は嘘ばかり吐いてきた。周りが望む様な姿になるために生きていた。俺もお前も。けど、俺は日奈子といる時だけ本当の自分を見せることができる」

「私を全否定ってわけね」

「そうなるな」

「日奈子は無理よ。尾鷹家でやっていけるわけがないわ」

「無理かどうかはやってみなければわからない」

「私は認めないわよ。いいえ、私だけじゃない。誰もあなたと日奈子を認めないわ!」
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