優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません！

カメラを奪うと今園さんに渡した。

「はー……、今園さん、綺麗ですね」

「今、そんなことを言っている場合ではありません」

「あっ！そうですよね」

「危うくスキャンダルを#捏造__ねつぞう__#されるところでしたよ」

「スキャンダル！？」

「はい。メールを頂いて、すぐにホテル側に確認したところ、尾鷹の名前で予約はありませんでした。予約名は安島(あじま)だったそうですが、電話をかけてきたのは呑海(どんみ)さんという秘書だと」

「お姉ちゃんが……」

つまり、お姉ちゃんが私と渚生君が付き合っていると見せかけてスキャンダルにしようとした？

「今園さんは囮になってくれたんだよ。どこにカメラマンが潜んでいるか、わからなかったからね」

渚生君はカメラマンを見下した。

「誰から電話があったか聞かなくてもわかるけど」
壱哉さんもうなずいたけど、黒服の人達に言っていた。

「念のために電話の着信履歴を確認しておいてくれ。それから、今園。ホテルディナーは会社の金を使っているはずだ。その証拠も押さえて置け」

「はい」

「それじゃ、せっかくだから、今園さん。ディナーを食べて帰ろうか？」