優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「もうありません。ありがとうございます」

壱哉さんは肩を落とした。

「そうか……」

「どうかしましたか?」

「いや」

ちょっと拗ねたみたいに壱哉さんは私の肩に頭を置いた。

「杏美はいいな」

「え!?」

「日奈子に心配してもらえて」

「そっ……そんな!」

「俺のことは?」

壱哉さんは耳元で囁いた。
それで、私は気が付いた。
これは壱哉さんのおねだりなんだって。

「私、いつも壱哉さんのこと考えてます。誰よりも」

「それならいい」

壱哉さんが満足そうに笑うと唇を重ねた。
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