優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第11話 アヒルは白鳥にはなれない
壱哉さんはランチが終わると家まで送ってくれた。
残ったケーキは箱に入れてもらい、今日着ていた服と本、ケーキだけが荷物で他のものは明日の夕方に届けてもらえるようにした。
それなら、家に誰もいないし、また緋瞳お姉ちゃんに叱られずにすむ。
提案してくれたのは壱哉さんで私の家の力関係事情まで、しっかり把握しているのはさすがとしか言いようがない。

「ただいまー」

「おかえり」

両親がリビングにいてたまった郵便物を仕分けていた。
忙しくて、休みの時しか時間がとれない。

「あら、素敵なスーツね」

「本当だな。春らしい、クリーム色で可愛いじゃないか」

「壱哉さんが入社のお祝いに買ってくれたの」

「まあ、壱哉君は親切ね」

「お姉ちゃん達は?」

「遊びに行ったわよ。夕飯はいるって言っていたから、夕方までには帰るでしょ」

「わかった。着替えてきて、お茶いれるね」

「ありがとう。日奈子」

二人がいないうちにケーキを両親に食べてもらおう。
また壱哉さんからだって言ったら、図々しいって叱られるかもしれないし。
コーヒーとケーキを両親に出すと喜んでくれた。



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