優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
キリッとした顔で私が言うと、壱哉さんは険しい顔で首を横に振った。

「いや、俺が行く」

いつになく、強い口調に負けて、そうですかと私は原本を壱哉さんに渡した。

「日奈子はここから出るな」

「え?」

「専務命令だ」

「えええ!?」

そう言うと、壱哉さんは部屋を出て行ってしまった。
な、な、なんでー!?それはどういう命令?
もしかすると、私のコピーに問題があったのかもしれない。
印刷に問題はなさそうだけど。
昨日、コピーをした紙を透かして見たけど、大丈夫そうだし。
何度も紙を傾けて眺めていると、役員室のドアがノックされ、手を止めた。
来客の予定はなかったと思いながら立ち上がり、ドアを開けると今園室長がいた。

尾鷹(おだか)専務はご不在ですか」

「はい。コピーをしに」

「専務が?」

私はなるべく、役員室のドアの線から向こうに行かないよう苦労していると今園さんが首をかしげていた。

「何をしていらっしゃるんですか?」

「はい。専務命令でここから出るなと言われているので」

「それはどういう命令で!?」

今園室長の顔が崩れ、困惑気味に聞いてきた。
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