優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第21話 ぬくもり
小さい頃から私は姉達から邪険にされてきた。
水和子お姉ちゃんの誕生会の日は特に家にいて欲しくないらしく、外に遊びに行くように言われて、冬の寒空の下、公園の遊具の中にいた。
最初の頃は素直に『遊びに行こう』と思えていたけど、そんなに友達も多くない私は何度目かで気づいた。
水和子お姉ちゃんの『外で遊んでいて』は私にいて欲しくない時だってことに。
緋瞳お姉ちゃんみたいに美人で運動神経もよかったら、友達にも自慢できる妹だったんだろうな……。
本当に私は鈍い。
もっと何もかも早くにわからなきゃだめなのにね。
冷たい雨が降っていて外で遊べず、遊具の中に座り、日が暮れるまでぼっーと雨を眺めているしかなかった。
寒いなあ。
雪になるかもと空を見上げた時だった。

「日奈子、ここにいたのか」

紺色の傘がフワッと遊具の入り口にかかる。

「壱哉くん」

「風邪を引くから一緒に行こう」

そう言った壱哉くんも白い息をはいていた。
六年生の壱哉くんはしっかりしていて私をよく助けてくれる。

「コンビニに行って温かいものを買おう」

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