The previous night of the world revolution6~T.D.~
「別に良いって…何がですか?無実の人間が罪を着せられたのに、何が…」
「だって、その人は貴族だったんだろう?貴族なら、罪を犯しても裁かれないって言うじゃないか」
「そう、有名な貴族特権の一つですよね。貴族の生まれの人間は、一般人なら有罪になる罪を犯しても、一度は許されるって奴」
「貴族としての権利のみを奪われて、市井の身分に落とされるだけっていう、あの制度ですね。本当に、理不尽な貴族特権です」
…そうかもね。
一般人からしたら、許せない「特権」だろうね。
自分達なら、罰金を課せられるか、禁錮刑にされるのに。
貴族達なら、貴族の名を剥奪されるだけで、罪を許される。
刑罰を受けることもなく、ただ一般人に降格されるだけ。
…で。
それがどんなに重い罰か、彼らには分かっているのだろうか。
「確かに…そんな制度はありますが、でも、きっと…特権と言うよりは、貴族にとっては過酷な制度ですよ」
「何で?」
こっちが何でと聞きたいよ。
お前達こそ、想像力というものを働かせたことはないのか。
貴族なら、罪を犯しても一般人に落とされるだけで、罰を受けずに済んでラッキー、とでも思ってるのか。
こんなお偉い大学に来ていて、そんなことさえ分からないのか。
「今まで持っていたものを…富も権利も名声も…自分の名前すら奪われて、無一文で放り出されるんですから…。貴族にとっては、辛いことじゃないですか?」
「でも、刑務所に入れられるよりマシでしょう」
「本当にそうですか?貴族のみならず…一般人にとっても辛いことだと思いますよ。いきなり家から放り出されて、名字を奪われて、お金もなく、住むところもなく…。想像してみてください。それはきっと…凄く、辛いことです」
よく分かってるじゃないか、ルーシッド。
凄く辛いどころか、死ぬことしか頭になかったよ。
ルルシーが助けてくれなかったら。
ルルシーが少しでも遅れていたら。
俺は今頃、この左手首の消えない傷によって、あの世にいただろうね。
「…でも、それって自業自得じゃない?」
上級生の一人が、胡散臭そうに言った。
「自分が罪を犯したから、家から追い出されただけでしょ。命を奪われないだけマシじゃない」
…。
「…ちょっと待って下さい。論点がズレてますよ。今はベルガモット王家の話でしょう。ローゼリア元女王が退位されたのは、部下の貴族に無実の罪を着せたからです。その人は無実だったんですよ」
「そうだっけ?まぁ…その人は気の毒かもしれないけど」
「それまで随分、特権を貪ってきたんだから。充分でしょ」
つまり、俺はそれまで随分「良い思い」をしてきたんだから。
無実の罪で市井の身に落とされても、因果応報だと?
「それに、その件以外はローゼリア元女王に、特に悪いところはなかったんだし。今のアルティシア女王よりは良かったんじゃないかな」
馬鹿だな、お前は。
お前らみたいな組織が存在出来るのは、穏健派で日和見主義のアルティシアが女王だからだ。
今もローゼリアの治世だったなら、お前らみたいな共産主義者は、力ずくでも国内から一掃されていただろうよ。
そういうことを、平気で出来る女だった。
王家の威信とやらを守る為なら、自分の部下を人身御供として差し出すことに、何の躊躇いもない人間だったのだから。
「だって、その人は貴族だったんだろう?貴族なら、罪を犯しても裁かれないって言うじゃないか」
「そう、有名な貴族特権の一つですよね。貴族の生まれの人間は、一般人なら有罪になる罪を犯しても、一度は許されるって奴」
「貴族としての権利のみを奪われて、市井の身分に落とされるだけっていう、あの制度ですね。本当に、理不尽な貴族特権です」
…そうかもね。
一般人からしたら、許せない「特権」だろうね。
自分達なら、罰金を課せられるか、禁錮刑にされるのに。
貴族達なら、貴族の名を剥奪されるだけで、罪を許される。
刑罰を受けることもなく、ただ一般人に降格されるだけ。
…で。
それがどんなに重い罰か、彼らには分かっているのだろうか。
「確かに…そんな制度はありますが、でも、きっと…特権と言うよりは、貴族にとっては過酷な制度ですよ」
「何で?」
こっちが何でと聞きたいよ。
お前達こそ、想像力というものを働かせたことはないのか。
貴族なら、罪を犯しても一般人に落とされるだけで、罰を受けずに済んでラッキー、とでも思ってるのか。
こんなお偉い大学に来ていて、そんなことさえ分からないのか。
「今まで持っていたものを…富も権利も名声も…自分の名前すら奪われて、無一文で放り出されるんですから…。貴族にとっては、辛いことじゃないですか?」
「でも、刑務所に入れられるよりマシでしょう」
「本当にそうですか?貴族のみならず…一般人にとっても辛いことだと思いますよ。いきなり家から放り出されて、名字を奪われて、お金もなく、住むところもなく…。想像してみてください。それはきっと…凄く、辛いことです」
よく分かってるじゃないか、ルーシッド。
凄く辛いどころか、死ぬことしか頭になかったよ。
ルルシーが助けてくれなかったら。
ルルシーが少しでも遅れていたら。
俺は今頃、この左手首の消えない傷によって、あの世にいただろうね。
「…でも、それって自業自得じゃない?」
上級生の一人が、胡散臭そうに言った。
「自分が罪を犯したから、家から追い出されただけでしょ。命を奪われないだけマシじゃない」
…。
「…ちょっと待って下さい。論点がズレてますよ。今はベルガモット王家の話でしょう。ローゼリア元女王が退位されたのは、部下の貴族に無実の罪を着せたからです。その人は無実だったんですよ」
「そうだっけ?まぁ…その人は気の毒かもしれないけど」
「それまで随分、特権を貪ってきたんだから。充分でしょ」
つまり、俺はそれまで随分「良い思い」をしてきたんだから。
無実の罪で市井の身に落とされても、因果応報だと?
「それに、その件以外はローゼリア元女王に、特に悪いところはなかったんだし。今のアルティシア女王よりは良かったんじゃないかな」
馬鹿だな、お前は。
お前らみたいな組織が存在出来るのは、穏健派で日和見主義のアルティシアが女王だからだ。
今もローゼリアの治世だったなら、お前らみたいな共産主義者は、力ずくでも国内から一掃されていただろうよ。
そういうことを、平気で出来る女だった。
王家の威信とやらを守る為なら、自分の部下を人身御供として差し出すことに、何の躊躇いもない人間だったのだから。